feature

innersience

interview

INSIDE/OUTSIDE【003】 Interview with Inner Science

12/18に開催されたdeepriverでも圧巻のライブを披露した
Inner Scienceこと西村尚美。
1/19にリリースした4年振りのアルバム”Elegant Confections”と、
彼が持つ音楽観について尋ねてみた。


INSIDE

-リリースされるまで、どのように音楽に触れてこられたのでしょうか。

両親が音楽に携わる仕事をしていて幼少期から音楽に触れていたと思います。
中学生になると友達の影響でHIPHOPと出会ったのですが、最初はそこまで興味は引かれなかったんです。
だけど、少しずつレコードを買いにいく習慣がつき、
そのくらいの時期に日本語ラップへ興味を持つようになって結果的にのめり込みました。
中学生の時にコピーバンドをやっていたのですが、バンドは基本的には複数人数での作業で、
自分はあまりそうゆうのに向いてないと思って、
ひとまず1人でも始められるラップやDJに興味を持った、という部分もあったと思います。
だからなのか、今でもひとりでつくるということに興味があります。


-ONE OWENER RECORDSとInner Scienceはどのようにして生まれたのでしょうか。

2000年に、始めは4人でONEOWNER RECORDSというレーベルを始めました。
自分たちがやりたい活動を他のレーベルにお願いしてできると思わなかったんですよね。
それは単純に自分たちに知名度が無いという部分も含めて。
自分の記憶が正しければ90年代半ばから後半はジャパニーズ・ヒップホップの自主アナログ・リリースの流れが活発で、
2000年前後くらいにはブレイクビーツなどもたくさん自主リリースされていました。
そういった流れが、自分たちの行動を後押ししてくれたんだと今になっては思うのですが、
結果としてそういった流れとはうまくリンクできてなかったような気がします。
2000年当時はラップをメインにCHUという名義で活動していて、僕の最初のレコードは初回出荷枚数が委託で20枚でした。
そしてその20枚全て返品で返ってきたりしたりと散々な運営だったのですが、
でもそういう所から少しずつレーベル運営からリリースまでのプロセスを学びました。

CHU名義で活動していくうちに、自分でトラックを作るためにサンプラーやシーケンサーなどを購入して、
そのトラックメイク時の名義として現在のInner Scienceという名前が出てきました。
オルター・エゴ的な立ち位置からプロデュースをする感覚と、当時シークエンサーが数字ばかりで、
マトリックスの世界だったのでその印象を「Science」と捉え、Inner Scienceという名になったんだと思います。
あとは「inner」は「outer」ともある意味同義だな、と勝手に思ったり、
「Science」は「科学」だけじゃなくて「技術・術」って意味があるのも後付けで知ったり。

当時は、Roland MC50(シーケンサー)、AKAI S-950、AKAI S-1100(サンプラー)を使っていましたが、
それらの機材は相当音楽に影響を及ぼしているはずですね。
ちなみにPCの導入は遅いと思います。ハードからソフト、PCにいく人って、音がクリアすぎてびっくりするんですよね。
例に漏れず自分もそうで、ハードとソフトをいったりきたりしました。
いくら時代がハードからソフトになっても、これらの経験は今も大切な感覚となっています。

InnerScience

-CHUからInnerScienceとなる際に誰かから影響を受けたのでしょうか。

うーん、”なる際に”ってほど劇的な瞬間があった訳ではないんですよね。
最初は同時進行だった訳ですし。
影響という意味では、ある意味音楽も含めた環境全てに受けていると思うのですが、
その中でも強いて言えば、INDOPEPHYCHICS(と取り巻く周囲)の動きは特別に印象深かったように思います。
留まらず変化していきながら、良い意味での違和感を持って、結果的にしっかりリスナーが興味を持ってしまう様な流れはとても魅力的でした。
なんというか、大きい意味で自分も常にそうでありたいなと思います。って今言いながら気が付いたんですけどね(笑)。


-「プロ」で活動するということを意識されたことはありますか?

なぜだか、当たり前のように自分は音楽を創っているので、そこを意識したことはありません。
というか最初からプロ意識だったんだと思います。若い自意識なりに。
音楽を作って、リリースして、そしてそれを聴いてくれる人や楽しみにしてくれる人がいる。
でも楽しんでもらうために作るというよりは、自分が納得行くものを作った上で、
それを楽しんでもらえるような信頼を得られればと思っています。
自分なりの順番を間違えないで。


-現在運営されているplainmusicとはどのようなものなのでしょうか。
また今後、レーベルでは自分以外のアーティストのリリースも考えているのでしょうか。

今は、ほんとにプライベートなもので、
自由なりのアウトプットの場として存在しています。
そしてプレイベートなものという以上は、自分とレーベルの信用はほぼイコールでもあると思うので、
僕の活動を拡げていきつつ、同時にレーベルでやれる事をゆっくり増やしていければと思っています。
色々なアーティストとも、お互いにとって良い流れが出来るのであれば何か出来たらいいなとも、最近はまた考えています。

InnerScience

OUTSIDE

-現在はどのように音楽を制作されているのでしょうか。

音をつくって、書き出して、そこから拾って、
サンプリングできるものを自分で生み出そうとする流れがあります。
でも、ギターを鳴らしても、ギタリストの方の様に弾きたい訳ではないし、
ピアノの音もそのまま、いわゆるピアノ!みたいな感じには使いたくない、と思ったり。
そうゆう細かい自分の判断の積み重ねで、好きな音を集めて、
そしてその音を積み上げて行く様な感覚なんじゃないですかね。
楽曲を作るときは最初にふわっとしたビジョンは見えていますが、
ただそれだけを目指そうとすると予定調和になってしまうので、
ものすごく時間をかけて音作り/サンプリングを繰り返して、そこから切ったり貼ったり引き算したり足し算したりしています。

-新作「Elegant Confections」はどのようにして作られたのでしょうか。

アルバムを出すために楽曲を作っていた、というよりは、アナログ用に4曲づつを集中して作っていって、
それを結果的にアルバムという形に纏める事ができました。
その為にも、アナログ3枚を先に出して行くという流れは、今回は自分にとって良かったんですよね。


-アルバムを2枚組にした理由はあるのでしょうか。

文字通りOriginal verという方を先に作っているのですが、
そこから単純にドラムを抜いたものをAmbient verとして自分が聴いてみたいなというのと、
そうする事で上音がどの様な動きをしているのかをより集中して聴いてもらえるだろうから、
それは面白いかなと思って。特に僕の音楽はドラムの音量が大きめなので、
割とドラムに耳が行きがちだったりもするでしょうから。


-前回のリリースから4年が経っていますが。

4年って言っても、その間、Remixやらコラボレーションやらやっていたし、
前回のリリースからそこまで時間が経過したとは思ってない、というのが正直なところです。
でも時間の方が更に正直なので、すっかり4年も経ってしまっていましたね(笑)。


-アルバムのタイトルにコンセプトや意味があるのでしょうか。

各曲には思い入れがありますが、タイトルにメッセージ的な意味は特にありません。
リスナーのみなさんに好きなようにイメージしたり
思い入れを持ってもらえたら嬉しいと思っています。

-最後に、リリースパーティについてお聞かせください。

2/18日に新代田のFEVERという場所で、インスト/ソロでパフォーマンスを
展開出来るアーティスト(KOKI KAGAWA a.k.a eater、KILLER BONG、DORIAN/敬称略)のみなさんが
ライヴ出演してくださる事になりました。

一人で曲を作り、一人でライブするっていうのは、色んな意味でその人自身が透けて見えるものだと思うので、
まずはそこが面白みだと思いますし、それぞれのスタイルの違いもとても興味深いものになると思います。
そして、ライブまでのDJは嬉しい事にCRYSTALくんが担当してくれる事になったので、
とにかく最初から最後まで楽しんでもらえたら幸いです。



INNER SCIENCE “Elegant Confections”Release Party
2月18日 (金)代田橋FEVER
http://www.fever-popo.com/schedule/2011/02/18/

fairgroundは今後もInnerScienceの活動に注目していきます。
リリースパーティを是非、お見逃しなく。


Inner Science
西村尚美によるソロ・ユニット。浸透するように透明できらびやかな音色とメロディー、そこに拮抗する振り幅の広いリズム隊を操り、
エレクトロニック・ミュージックの範疇ではありつつも、その中のどのジャンルにも収まる意思を見せないカラフルでエモーショナルな
世界観の楽曲を産み出す。それらの素材をリアルタイムにエディット&ダブ・ミックスするスタイルでのライブと、自身の音楽観を
派生/拡大解釈した様々なソースを大胆に紡ぐDJプレイには定評があり、いわゆるクラブ、ライブハウスの現場だけに留まらず、
メディア・アート系イベントから野外パーティーまで、昼夜を問わず様々な場面で様々なタイプのクラウドを唸らせている。

また、2004年以降はアンビエント・ミュージックに特化したプロジェクト”PORTRAL”(ポートラル)としても
12inchやアルバムなどを発表し、並行してライブ活動も行っている。

最近では、東京・お台場にある日本科学未来館のプラネタリウムのコンテンツ『BIRTHDAY』の音楽制作や、NPOであるLAの
ネットラジオ局・ dublabの募金キャンペーンへの楽曲提供、Opiateが主宰するデンマークのレーベルHobby Industriesからの
ASLOPE “A Helping Hand”のリミックス提供、海外でも評価の高い日本人アーティスト9dwへ提供したリミックス楽曲が
2012年度の電通の新卒採用HP「DENTSU RECRUIT 2012」のBGMに採用…などのトピックに加え、エンジニアとして親交の深い
他アーティストのトラックダウンからマスタリングまでの作業も数多くこなすなど、多彩に活動。自身のプライベート・レーベル
Plain Musicも2007年から運営しており、自身の12インチやTシャツなどラインナップを増やしている。



撮影:natsu
撮影協力:BRAVO
編集:masa