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Interview with Liquid Note Records

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INSIDE / OUTSIDE【011】Interview with Liquid Note Records

2012年8月5日M-KODA「inga」を皮切りに、3ヶ月で3枚のリリースを予定している音楽レーベルLiquid Note Records。
fairgroundのメンバーでもあるno.9が所属するLiquid Note Recordsのメンバーにレーベルのこれまでとこれからをインタビューした。

 

Interview with Liquid Note Records

― Liquid Note Recordsを立ち上げた経緯を教えてください。

no.9:
3rdアルバムをリリースして以降、次が決まらない中、
ソロでライブをしていた時にタクロウ(三浦)が「僕にリリースをさせて欲しい」と声をかけてくれたことがきっかけでした。
しかし、タクロウは当時レーベルを運営していた訳ではないので、彼をオーナーとして、
僕の曲のリリースに向けて2人でレーベルを立ち上げたことがLiquid Noteの始まりでした。

三浦:
声をかけたのは2005年で、結局2007年にno.9の4thアルバム「good morning」をリリースしました。
城さん(no.9)はLiquid Noteからリリースすることに迷いも当然ありましたよね。

no.9:
僕も当時レーベルって何なのかよくわかってなかったんだ。 既存のレーベルから出してもらうことが普通だったから。

Nanofingers:
今は簡単にリリースが出来るネットレーベルがたくさん存在しているけど、
2007年はCDやレコードが主流だったし、リリースすること自体がもっと大変だったよね。

no.9:
今でも特別だけど、当時はもっとリリースすることは特別なことだったな。
このタイミングでレーベルを立ち上げるという行為自体が逆に面白いかなと思ってタクロウの想いに付いていき、
Liquid Noteを立ち上げることにしたんだよね。
今考えても、Liquid Noteはその延長線上であるべきで、タクロウが好きだと思う音楽をリリースするべきなんだと思うんだ。
毎回リリースする作品でレーベルを立ち上げるくらいの情熱がなかったら、今後衰退していっちゃうでしょ。
ジャンルではなく、その作品に対する情熱があれば良い。
だからLiquid Noteが扱う音のジャンルはバラバラなんだよね。

 

― 2枚目以降はどのようなリリース活動をされてきたのでしょうか?

三浦:
2枚目はNanofingersです。

no.9:
僕が音楽を始める前から明石(Nanofingers)は音楽を創っていたんだよね。
専門学校のクラスメイトなのでもう20年以上の付き合いになるかな。

Nanofingers:
僕は元々HIPHOP、特にDJに興味があったんだよね。

no.9:
僕はDJというものを明石に出会って初めて知ったよ。

Nanofingers:
城はギター小僧だったよね。

no.9:
明石の家に遊びに行ってもターンテーブルしかなくて、突然「ミックスしてみろ」って言われたよね(笑
「え、そういう遊びがあるの?」と驚いたことを覚えてる。

Nanofingers:
「キレイにつないでみろ」みたいな(笑

no.9:
キレイにつないだもん勝ち(笑。
その文化が妙にカルチャーショックで、機械を使っても良いんだと学んだことは僕の音楽の新たな始まりだった。
当時、明石を始め専門学校のクラスメイトにすごく感化されて音楽にのめり込んでいったな。
そこから15年くらい経ってタクロウに出会ってLiquid Noteを立ち上げた時から、明石のリリースを考えていたんだ。
それでタクロウに紹介して、Nanofingersのアルバムを出すことになったんだよね。

 

Interview with Liquid Note Records

 

Nanofingers:
その次のリリースは誰だった?

no.9:
URANだね。彼はすごい才能があって曲を作りためているのにアウトプットを恐れていた。
でもアウトプットして初めてスタートじゃない?
リスナーが出来て誰かの感動が生まれて、もっと喜ばせよう、次はもっと出来るとか、
欲みたいなものが出てきて、次のステージに行けると思うんだ。
完璧を求めていてもキリがないし1stのリリースって、それは特別なもので、想いが不器用に詰まってるから良いところもある。
それでとにかく1枚出せと。
あれはLiquid Noteからしか出せないものだったと思うんだ。

 

― mergrimのリリースにはどのような経緯があったのでしょうか?

no.9:
数年前にイベントで出会った時にミツ君(mergrim)から楽曲を聴かせてもらったんですが、
聴いた瞬間、感動してすぐにタクロウに電話して「絶対うちから出せ!」って言いました。
めちゃくちゃ興奮して、一曲目の途中くらいには電話していましたね(笑。
Liquid Noteにその時、一番必要な音楽だと思いました。

Nanofingers:
これがあったからLiquid Noteも成長できたよね。

no.9:
KODA君(M-KODA)の作品に関してもミツ君や時代の影響が大きいと思うんだよね。
明石の最新作に関してもこの流れが踏襲されている部分がある。
お互いに影響されあって音楽が変わっていく統一感みたいな。
レーベルとしては一番嬉しいカタチだよね。

Nanofingers:
mergrim名義でリリースしたのは初めてだったよね?

mergrim:
それまではユニットでいくつか出していましたけど、ソロでは初めてですね。
僕もリリースするまではすごく時間がかかりましたね。

 

― アーティストにとってリリースは覚悟のいることだと改めて感じました。

no.9:
no.9 orchestra(no.9のLive時編成バンド名称)の中でも
伊藤君(伊藤はno.9 orchestraギターを担当)のアレンジは面白いと思うし、
能力もすごく高いんだけど、本人は作品を作りたい、でも作るにはまだ至らないとか思いがどこかにあって、
彼も1曲完成させることをどうも恐れているんだよね。
いつでもリリースする能力と技術があるから今回、Liquid Noteでダミアナ・テリーさんをリリースすることが決まった時に、
伊藤君しかいないと思ったし、1つの作品をリリースするプロセスを含めて結果が残せるから彼をタクロウに紹介しました。

伊藤:
ダミアナ・テリーさんをやらせていただいたのは有り難いことでした。
おかげで自分の作品を作る意欲が湧きましたね。

Nanofingers:
湧くよね。フラストレーションが溜まる。アルバムを作るから足りない部分がすごくできるでしょ?
だから次やる原動力になるし、足りない部分の原動力を模索するようになる。
アルバムを出さなければその課題は生まれないんだよね。

伊藤:
正直もっとこうすれば良かったという気持ちは無限に出てきます。

no.9:これはできて、これはできなかったという自分の指針もできたわけでしょう。
リリースする前はこれもできる、あれもできるという妄想ばかりで、
結局時間が経つにつれて想像ばかりが先に行くから完成はどんどん遠くなる。
1つけじめをつけると次の作品に進める。
そもそも僕らはなぜか次の作品を作らなきゃって強迫観念に追われているよね(笑

Nanofingers:
反面、音を作ることで精神バランスを保っているんだよね。

伊藤:
城さんや皆さんの話を聞いていて、リリースすることが大事なんだということを改めて思います。

mergrim:
本当に去年リリースしてから変わったもん。
出して自分のことを知っている人がこんなにも増えるのかと。

no.9:
作家じゃなくてアーティストが始まる。僕はリリースは階段みたいなものだと思っているよ。
1つ上がると見える景色が違うし、1つ上がると足下が固くなる。
今までやったことの上で次がやれるから。作曲自体も変わっていくんじゃないかな。

 

Interview with Liquid Note Records

 

― Liquid NoteRecordsがリリースする際に指針にしていることはありますか?

三浦:
一般の人が音楽を聴くのはどういう時ですか?
通勤するときやドライブするときですよね?
僕の感覚ですが、その日常の世界に色をつけるというか、
日常をより感動的に感じられるような楽曲をリリースしています。
魂を込めて創っているじゃないですか、このアルバムたちは。
それらを感じられるものをリリースしているので、Liquid Noteが扱うジャンルはバラバラとよく言われますが、
そういう意味で統一されていると僕は思っています。

no.9:
リリースすることは本当に大変だから。
そういう意識を絶対アーティスト側もなくしちゃいけないよね。自分のレーベルに関しても。
逆に、レーベルにとっては可能性を買うっていうのはひとつの仕事なんだけど、
きちんとリリース出来る作品まで可能性を育てないと、その時点でリリースしてしまうのはプロとして問題がある。
育てることも今後は必要だけど、なかなか難しいよね。
金儲けとしてやってるわけじゃないけど、商業でやらなきゃいけない部分もある。
1枚でも誰かにお金を出してもらう以上はプロだと思うから。
そこに責任を持てるようなものをリリースしないと、結局その作品の後、
あれを出したレーベルかと思われるのは僕らにとってはいいことではないよね。

mergrim:
でも、普通レーベルオーナーって、リリース後はレーベルの作品として冷静に向き合うんだけど、
良くも悪くも、タクロウはファンのままって感じがするよね(笑

三浦:
申し訳ないですけど、Liquid Noteは僕の好きな音楽コレクションになっていますね。
一ファンなんです、完全に。
レーベルというよりは単純に好きだからリリースしていますね。

no.9:
僕はLiquid Noteと自分の音楽にものすごくギャップを感じていた時期があったんだ。
僕は人生の中で音楽が99%だと思っていて、いろんなものを懸けているところがある。魂を預けている。
でも、楽曲を聴かせた時にタクロウはいつも「あー生活が豊かになりますね」や「これ好きです」って
漠然とした返答だけなんだよね(笑。
そのふわっとした受け取り方にギャップを感じていたんだけど、今はそれが逆に心地良いんだよね。
タクロウの「好きです」のためにやってるのかもなって。

mergrim:
なんか、彼女みたいですね(笑。

no.9:
ビジネスを強く意識していたら僕の音楽はうっとうしいものになっていたのかもしれないね。
僕には、こういうレーベルが向いているのかな。

 

Interview with Liquid Note Records

 

 

LiquidNoteRecordsのメンバーが今回のインタビューにあたり、未発表音源をfairgroundに提供してくれた。
ここでしか聴けない音をインタビューと共に聴いてみてほしい。

no.9

mergrim

Nanofingers

伊藤智也
Damiana Terry

 

 

 【LiquidNoteリリース情報】

■2012年8月15日 M-KODA 2ndAlbum「inga」

M-KODA 2ndAlbum「inga」

仙台出身。SatoshiKodamaのソロプロジェクトM-KODAのセカンドアルバム。
2010年RedBullMusicAcademyに楽曲が選考。
2011年にはDOMMUNEのストリーミング放送「うちこみ!」にて
agraph×Sound&recordingMagazine主宰のリミックスコンテストで最優秀賞に選ばれるなどその実力派実証済み。
ディープなサウンドは、リキッドノートレーベルの中でも異端ではあるが、
独創的なメロディとドラマティックな展開の中にある感情を揺さぶるストーリには、レーベルカラーに通ずる部分が確かにある。
mergrimとlycoriscorisによるリミックスを含む全13曲。

 

■2012年10月7日 nanofingers 4th Album 「get off a bus and ride on a cloud」

nanofingers 4th Album 「get off a bus and ride on a cloud」

作曲からエンジニアまでこなす音職人。
So AkashiのソロプロジェクトNanofingersの4thアルバムが遂に完成。
前作から約2年、実験と試行錯誤を繰り返し作り上げた楽曲は、
Nanofingersというジャンルの完成を伺わせる出来映えだ。
美しく整理された一つ一つの音、感情に訴えかけるメロディーとビートが、
心に深く染み渡る。
no.9と並び、レーベルの看板アーティストらしい作品となった。

2012年10月末 伊藤智也プロデュース
ダミアナ・テリー 2ndAlbum「Negentropy」

 

撮影協力:三宿Mishin
撮影:natsu
編集:acco&masa