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人の動作に着目し、道具の使い方やコミュニケーションの在り方を考えるWeb企画「HUMAN MOTION」。
6月29日(日)のイベント 【本のスタディ】と連動し、「読む」ということについて、
fairgroundがつながるクリエーター、アーティストの皆さんに尋ねてみました。


  • /images/hm4/arina.jpg” class=”plus”>編集ライター/キュレーター

    『ムーン・パレス』ポール・オースター(訳・柴田元幸)
    「僕はただ歩きつづければよいのだ。歩きつづけることによって、僕自身をあとに残してきたことを知り、もはや自分がかつての自分でないことを知るのだ。」
    19歳のあの日、ポール・オースターを読まずに、大人になんかなれなかった。

  • /images/hm4/ayana.jpg” class=”plus”>ライター/プランナー

    『ユー・メイ・ドリーム』鈴木いづみ
    「両性具有願望? シジジイ? わたしは男でも女でもないし、性なんかいらないし、ひとりで遠くへいきたいのだ。
    地球のおわりとか人類の死滅なんて、ねがってない。みんな、たのしく生きていてほしい。だからこうして、ちがう宇宙のちがう惑星のちがう時間系のなかへやってきたのだ。
    きらいな人物を攻撃したりバカにしたりするのは、おもしろいしさ。でも、基本的には、どうでもいいんだよ。どうでもいいから、おもしろがれるんであってさ。
    そのあまりにも最悪な音質に、わたしはけいれんした。脚がはねあがって、毛布がういた。
    わたしは、クックッとわらった。こういう演奏をプログラミングする人間の頭のなかを、のぞいてみたい。生きているのが楽しくなる。」
    鈴木いづみの文章に触れたとき、あまりに自分の内側にあるものが言語化されすぎていて、激しい驚きと感動と嫉妬にかられたのを憶えている。その熱量は減ることなく、溶けて同化し、私の一部になっている。
    これからも、ずっと。

  • /images/hm4/chiko.jpg” class=”plus”>フローリスト

    『FRESH』INOMOTO NORIKO
    10代の終りからずっと側にある本で、まえがきだけでも視界をクリアにしてくれる、自分の教科書のような存在です。(植物を通した価値観や審美眼、視点など著者のお人柄そのままにサバサバとわかりやすく語られている内容なのですが)文、写真、装丁など何年経っても変わらない力をもつこの本の存在に、私は歳をとるごとに驚かされています。
    http://www.chi-ko.com

  • /images/hm4/acco.jpg” class=”plus”><ことり薬草>ハーブセラピスト

    『アナザー・ワールド 王国 その4』よしもとばなな
    「私にできるたったひとつの呪い。小さいけれど人類が持っている最後の力そして望み、それに私は結果を期待せず、ただならうだろう。」
    夢を見ながら淡々と日常を生ききること。人間が全体のためにできる、唯一の仕事だと思います。
    http://cotoriherb.comm

  • /images/hm4/hamada.jpg” class=”plus”>ドラマー

    『青い花』ノヴァーリス(訳・青山隆夫)
    「野蛮で粗野な時代と、洗練された技術をもつ博識で豊かな時代との間に、質素な服装の下に高雅な姿をつつんだ深遠なロマン的な時代があったのである。夜が光に触れ、光が夜に触れてこなごなに飛び散ると、いっそう微妙な影と色彩があたりに漂うが、いったいこの薄明の中の散策を厭(いと)う人がいるであろうか。」
    いたるところに散りばめられた言葉の煌めき。恍惚を誘う詩情。言葉・文体に「うっとりとする」感覚こそが錬磨すべきものであることを、改めて共有したい。 引用は、主人公ハインリヒの旅の始まりに入っていく直前の、著者によるアジテート部分とでもいえる箇所。
    http://cotoriherb.com

  • /images/hm4/joe.jpg” class=”plus”><no.9>サウンドデザイナー/コンポーザー

    『グレープフルーツジュース』Yoko Ono
    「この本を燃やしなさい。読み終えたら。」
    僕はまだ燃やせていない。なぜなら本当の意味で、まだ読み終えていないから。

  • /images/hm4/kinaco.jpg” class=”plus”>可笑しなお菓子屋屋

    『働けECD』植本一子
    普段の日々の暮らしの愉快さと生々しい生活感が羨ましくもあり心が温まる一冊です。この本を読んでからECDのラップを聴くときさらに泣けます!

  • /images/hm4/kaiso.jpg” class=”plus”><kaiso>パン屋

    『日々まめまめしく』塩山奈央
    「嫌なことは少しずつ減らしながら、いいところを増やす努力は惜しみなく」
    塩山さんの、すきなものに注ぐ愛情と手間ひまといったらすごい。この本を読むと、しあわせって、なんてことない毎日の中にたくさんあるなって気づかされる。愛着のあるものが、増えるほど、しあわせはふえてゆく。そんな考えも、とても好き。
    http://kinakinaco.exblog.jp

  • /images/hm4/canno.jpg” class=”plus”>博士(理学)/ 行動神経科学 / 生物学 / SYNAPSE Lab.

    『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦
    ぼくが男であるから、ぼくの細胞の中の遺伝子がお姉さんを好きにならせるということも知っている。でもぼくは仮説を立てたいのでもないし、理論を作りたいのでもない。ぼくが知りたいのはそういうことではなかった。そういうことではなかったということだけが、ぼくに本当にわかっている唯一のことなのだ。「それじゃあ、そろそろサヨナラね」科学をすることの喜びも虚しさも、アオヤマ少年(小4)が知っていた。
    http://can-no.com

  • /images/hm4/kubo.jpg” class=”plus”><Guru’s Cut&Stand>

    『PHILOSOPHY ‘ZINE』
    「ーあなたの自信とは?特にない でも、良い犬をかってる。そんなもんかな。Julian Stranger」
    http://www.gurus-cut.com

  • /images/hm4/hattori.jpg” class=”plus”>編集者

    『動物感覚—アニマル・マインドを読み解く』テンプル・グランディン
    「動物と人間の情動の大きなちがいは、動物には人間のような心の葛藤がないことだ。動物は相反する感情をもたない。動物同士や人間と愛憎関係にはならい。これは人間が動物をかわいがる理由のひとつといえる。動物は忠実だ。人を好きになったら、とことん好きだ。外見や収入など気にしない。」
    自閉症の著者ならではのストレートで残酷な表現。そして共に暮らす愛猫に尊敬の念を抱いた。
    http://ilove.cat/

  • /images/hm4/masa.jpg” class=”plus”>Producer/Planner

    『プロレス「監獄固め」血風録』マサ齋藤
    「人生はGO FOR BROKE!」
    失敗を恐れずぶち当たる。死ぬ気でやれば何とかなる。アメリカ、日本で1人、生きる道を切り開き続けたマサ齋藤先輩に、敬礼!

  • /images/hm4/nakano.jpg” class=”plus”><nostos books>

    『ハイスクール1968』四方田犬彦
    「すべては終わってしまったのだ。もう一度、最初からやりなおそうと、わたしはつとめて自分にいい聞かせようとした。だが、いったい何が終わってしまったのかを正確に見定めることすら、できなかった。」
    1968年に高校一年生だった著者が4年で経験すること全てが詰まった一冊。希望に満ちあふれていた少年である著者が本作の最後に、この一節を書いた理由とはなんだったのか。
    nostos.jp

  • /images/hm4/natsu.jpg” class=”plus”>会社員

    『食べ物さん,ありがとう』川島四郎・サトウサンペイ
    「一日三食と決めてるのは人間だけ、腹が減った時に食事」
    小学生の頃から愛読。ユーモアたっぷりの挿絵も最高。健康、食生活の原点。

  • /images/hm4/nishino.jpg” class=”plus”><ピリカタント書店>

    『世界はうつくしいと』長田弘
    わたしを本来のわたしへとリセットしてくれる、とても大切で、欠かせない一冊。グレー色に染まっていくのを感じたら、この本を開いて、こころをニュートラルに。
    www.pirkatanto.com

  • /images/hm4/rica.jpg” class=”plus”>古本屋・WEB屋

    『旅に美味あり』楠本憲吉
    「私はうなぎ茶漬けの野趣のある味覚を好む。うなぎを白焼きにし一丁くらいに切り、酒とみりんで煮たく。炊き立てのご飯の上にそれをのせ、煮いたつゆをよくなじませ、玉露のいいお茶をかけて食べる。私はこれを銀座東の竹葉亭本店で食べて以来、病みつきになってしまった。」
    北海道の鮭・アスパラ・じゃがいも、京都の湯豆腐、福井のたけのこ、神戸のすき焼き…etc。日本中を旅した著者が全ページあますことなく食べ続けて、各地の味覚を紹介した随筆集。後半の「そば風土記」も一読の価値あり。お腹がぐうぐう鳴ります。

  • /images/hm4/shiroyama.jpg” class=”plus”>映像プロデューサー

    その本自体を楽しもうと思って読んだことは一度もない。たまには真ん中くらいのページから本を読み始めるし、1冊の本を読み終えることなく別な本を数冊平行して読むし、途中まで読んで10年くらいほったらかしていた本を10年振りにその続きから読んだりするし、まあ、まず最初から最後まできちんと目次通りに隅々までよく読むことはほぼない。そんな気ままな読む行為によって偶然掛け合わされた言葉たちが日常に思わぬ潤いを生んでくれたりする方が楽しい。だから作者たちの意図することから外れてしまうことについては心の中でごめんなさいする。僕は本を読む行為が僕自身が時代を読むための何か気づきになればそれでいいと思っているから読む。

  • /images/hm4/nakamura.jpg” class=”plus”>本屋

    『髪が裸なのでとても怖い、ときみが言う。』写真・成重松樹/デザイン・山野英之(TAKAIYAMA inc.)
    成重くんのパートナー(きくちさん)を撮り続けた写真集(ZINE)。タイトルも秀逸。「うっかり友人宅の引き出しを開けて、インスタント・カメラでっぽい紙焼きを盗み見てしまい、それがうっかりあまりにも良い写真過ぎてどうしようもなくなった」そんな感じ。知らない人のガールフレンドなのに、ここまで愛おしい気持になれるものかと。つまり写真が本物なのだ。恐らくだいたい同じような感覚に陥ったTAKAIYAMAの山野さんが、「作ってしまえ」と一冊の本になりましたとさ。
    snow-shoveling.jp

  • /images/hm4/matsukura.jpg” class=”plus”><ovaqe inc.>代表取締役 / <CNTR>編集長

    『スマグラー』眞鍋昌平
    「自分の可能性を信じてた潜在してる筈の力で思いどおりの世界を切り開ける気がしてたなに一つ遣り遂げたコトもないくせに…
    大事な時に何時(いつ)も逃げ出したキズつかないよう争いを避け負けないように逃げてきたカラッポで何も無いまま
    “背骨”役を演じるンだ本気の嘘が真実になるように」
    大学一年生の頃、入学したが何者でもなく、大志もなく、夢も無い。ただ過ぎ去っていく退屈な日々を一変させた漫画。2000年にこれを読み、2014年の今もまだ真実になるように僕は僕を演じ続けている。
    subarumatsukura.com
    cntr.jp

  • /images/hm4/suzuki.jpg” class=”plus”><STUDY>オーナー・インテリアデザイン兼内装屋

    『カモメのジョナサン』リチャード・バック
    最も高く飛ぶカモメが最も遠くを見通せるのだ

  • /images/hm4/soyama.jpg” class=”plus”><T.B.Brothers>

    『HOUSE LEGEND』
    この本で印象に残っている文章というのは無いのですが(笑)、
    いわゆるディープハウスというジャンル(もしくはそのルーツ的な音楽)にはまっていた時期に出た決定的な一冊。本の後半に掲載されているディスクガイドは何度も目を通しては、アーティストとタイトルを覚えて、レコード屋で見つけたら絶対買うという作業を何年も繰り返していました。今では聴く音楽の幅も広くなりましたが、この本があったお陰で僕の音楽への関わり方が激変しました。
    tbbrothers.blogspot.jp

  • /images/hm4/shimada.jpg” class=”plus”><FILM>店主

    『For every minute you are angry you lose sixty seconds of happiness 』Julian Germain
    友人から開店祝いにいただいた写真集。泣き妻との思い出と共に生きる老人の作品。色彩豊かな壁紙、沢山の植物、妻とのアルバム写真。ページをめくる度幸せな気持ちになれる写真集です。
    film-web.tumblr.com

  • /images/hm4/tobira.jpg” class=”plus”><とびら> 店主

    『あらゆるものは古代歴史と、花崗岩のかなたの地平の目の色。』中原中也
    時間や空間を、地球を俯瞰しているような、中原中也のこのフレーズからものの視方を教わりました。
    tobira.asia

  • /images/hm4/yoshida.jpg” class=”plus”><ELEPHANT>店主

    『アルケミスト ー夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ(訳・山川 紘矢+山川 亜希子)
    「宝物を見つけるには、前兆に従ってい行かなくてはならない。神様はだれにでも行く道を用意していてくださるものだ。神様がおまえのために残してくれた前兆を、読んでゆくだけでいいのだ。」
    はたして前兆を読み取れているのだろうかと思ったりするけれど、今の自分があるのは前兆を読み取って来れたからなのかなと思ったりもする。
    www.elephant-life.com

  • /images/hm4/okamoto.jpg” class=”plus”><STUDY>副店長/文具コーディネーター

    『文房具を買いに』片岡義男
    「ひとつのアイディアや発想が、修正されることによってより高度な次元へと到達される可能性ないしは予感。消しゴムとはこういうものなのだ。じつに尊い存在ではないか。」
    自然光で出来る陰影にこだわり撮られた写真で鉛筆に塗られた山吹色のねっとりとした厚みを感じ、偏執的であるけど文具愛に満ちたエッセイで引き出しの消しゴムは尊い存在となる。現在の文具ブーム(?)が起こる前の2003年初刊の至高の文具エッセイ。
    hanyu-no-yado.co.jp/study/